園長日記
私は都合があって参加できずに、宇都宮副園長に出ていただいたが、朝来市三保の放鳥拠点で6月25日に3回目の放鳥が行われた(写真1)。このような拠点を豊岡の外部になぜ設定したかは、園長日記のNo.9、No.14、No.19にすでに書いたが、一言でいえば豊岡市の外部へコウノトリの生息域を広げていくためだ。今年行われようとしている野田市や福井県での「拠点放鳥」はこれを下敷きに行われるわけだ。
三保拠点でのこれまでの実績は、第1回目(2013年)オス・メスの2羽、第2回目(2014年)オス・メスの2羽、第3回目(今年)はメス1羽の合計5羽のヒナの巣立ちである。巣立ったヒナたちは三保には留まっていないが、まだ性成熟していないため、来年以降その結果を見守っていく必要がある。特筆に値するのは、最初の年に三保から巣立った現在2歳(2013年5月16日生)のメスの「あさひ」(この名前も朝来市の公募で命名された名前だ)が、今年徳島県鳴門市に飛来して豊岡市伊豆の巣塔から巣立った現在4歳(2011年5月11日生)のオスとつがいになり、巣造りを始めたことだ(No.47参照)。それもあって、当日は、徳島県の飯泉嘉門知事からの熱い思いが込められたメッセージが届き、副園長によって代読された。それを以下にそのまま掲載させていただく。
お祝いのメッセージ
本日、コウノトリ放鳥式典が盛大に開催されますこと、心からお慶び申し上げます。御参集の皆様方におかれましては、長年にわたり、コウノトリの保護・増殖に尽力され、地域を挙げて育んで来られたことに対し、心から敬意を表する次第です。
さて、徳島県と兵庫県をつなぐ大鳴門橋が開通して30周年という記念すべき年に、一昨年ここ朝来市で生まれ、放鳥された雌の「あさひ」と、豊岡市で生まれた雄が「つがい」となり、本県鳴門市に飛来し、巣作りをして繁殖に向けた行動を始めました。
朝来市をはじめ兵庫県の皆様が大切に育て、慈しんでこられたコウノトリが、本県においても定着・繁殖できますよう、行政や農業団体等からなる「コウノトリ定着推進連絡協議会」を早速、立ち上げ、本日御参列の兵庫県立コウノトリの郷公園の皆様にも御助言をいただき、関係者一丸となって取組みを進めております。
兵庫県や朝来市の皆様におかれましては、「コウノトリ」との共生先進地として、引き続き、御指導賜りますようお願い申し上げます。
本日は、誠におめでとうございます。
平成27年6月25日
徳島県知事 飯泉 嘉門
巣立ったコウノトリたちが三保にはまだ定着していないとは言うものの、朝来市のコウノトリ野生復帰の活動が、早くもよその県との繋がりを形作り始めているのである。朝来市の方々のご努力に私も改めて敬意を表したい。
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