コウノトリを勉強しよう
どんな環境が必要?
コウノトリが生きていくには、コウノトリの好物のエサが多くいる湿地と小さな谷が多くある地形が必要です。
昔の豊岡はその条件を満たした土地だったのです。
兵庫県と豊岡のコウノトリを保護し増やしていく取組と野生に戻そうという取組は、
コウノトリを野生に戻すことのできる自然環境と農業をはじめとする産業を同時に実現しようとするものです。
その自然がこれからの私たち人間にとっても大切な自然環境なのです。それを「人と自然の共生」と言います。
そういう社会を創っていこうというのが、コウノトリの野生復帰の取組なのです。
この取組の代表的な例の一つが、「コウノトリ育む農法」です。
「コウノトリ育む農法」は、安心安全な農産物と多様な生き物を育て、
コウノトリも住める豊かな文化・地域・環境づくりを目指す農法です。米作りを例に説明します。
①稲刈りが終わったら、肥料としてたい肥や米ぬか等の有機資材を撒き、田んぼに住む生き物のエサにする。
化学合成農薬は、全く使用しないか、7.5割以上減らすことにする。
農薬を減らすために、米の種子を温湯や食酢につけて消毒してから苗づくりをし、
害虫を減らすために畦草を定期的に刈るなど管理を徹底する。栽培期間中は化学肥料を使用しない。
②次にいろんな水辺に住む生き物がいる田んぼにするために、冬の田んぼに水を入れておく(冬季湛水)。
あるいは田植前1ケ月前には田んぼに水を入れておく(早期湛水)。
③稲の苗は、害虫に強く田んぼの地面から水深8cmに耐えられる丈夫なものに育ててから田植をする。
④田植え後、稲がよく育ち、生き物が住めるように、水深8cmを保つように管理する。(深水管理)
⑤たくさんの生き物を育てるために田んぼの中干し作業を1ヶ月近く遅らせる。(中干し延期)
またオタマジャクシやイトミミズやユスリカの幼虫が育っているかを調査する。
⑥肥料には、地元で生産された牛糞たい肥・鶏糞たい肥などの有機肥料を使用して、資源の循環に配慮をする。