公立大学法人 兵庫県立大学大学院大学院 地域資源マネジメント研究科

園長日記

(053)えっちゃんの子どもに脚環を装着

えっちゃんに子どもができたことはNo.48でお知らせしたが、不幸なことにその後1羽が巣の中で死んでいるのが6月28日に確認された。死因はまだ分からないが、残ったヒナは元気だったので、30日には郷公園の職員が高所作業車を使って巣内で捕獲し標識を行った(写真1)。識別のため右脚に黒・緑、左脚に赤・青のカラーリングを装着してある。その折に羽毛も採取され、それに付着する細胞のDNA判定の結果、男の子であることも分かった。現在野生下ではオスが足らないので貴重な存在になるだろう。また、体重は4.3キログラムあり、成鳥のそれが4.5~5.5キログラムであることを考えると順調に成長していることがうかがえた。

ところで、えっちゃんの巣は電柱の頂きに造られていたので、標識のために巣に接近すると電線に触れて感電する恐れがあった。そこで作業当日には、関西電力の協力でヒナの捕獲・標識に合わせて通電を一時的に止めてもらった。これで、郷公園の職員は、安心して巣に近づくことができたのであるが、上がって巣の下方を見ると電線、碍子やフレームが真っ白になっていた(写真2)。地上からでは、なかなか確認できなかった状況である。

(写真1)高所作業車のデッキで、えっちゃんの子どもに足環の装着が行われた

写真1 高所作業車のデッキで、えっちゃんの子どもに足環の装着が行われた

(写真2)巣のフレームや電線は糞尿で真っ白になっていた

写真2 巣のフレームや電線は糞尿で真っ白になっていた


この白いものは、ヒナが巣の外に排泄した尿の混ざった糞である。鳥類は、哺乳類と違って、尿と糞を一緒にして総排泄腔と呼ばれる、いわゆる肛門から排泄する。小・中型鳥類では、親鳥がヒナの出す糞を咥えて巣の外に捨てに行くが、その際に尿酸(尿)の白い部分が糞をとり囲んで「糞サック」と呼ばれる固まりとなって、親鳥が咥えやすくなっている。これは巣の周りが白く糞まみれになって、巣の位置を外敵に悟られヒナが捕食されるのを避けるためだが、外敵がほとんどないコウノトリ、サギ類、ワシタカ類のような大型鳥類では、ヒナが巣から外部に向かって糞を強く噴射する。巣の中の衛生はこうして保たれるが、巣の周りが白く糞だらけになって目立っても構わないという戦術だ。こうした鳥類では、排泄物は糞と尿酸が混った粘性の強い液状になるため、1m近い長さの紐状に連なることさえある。

以前、電力会社の人から、鉄塔に止まったアオサギが、自分で排泄した糞尿が高圧電線に伝わって感電死したことがあると聞いたことがある。つまり、この哀れなアオサギは自分の尻から電線をぶら下げて送電線に自ら接触したようなものだ。えっちゃんの巣は、電線から1m以上離れた高さにあり、その可能性は低かったが、毎年同じ巣を使うコウノトリの生態を考えると、いつまでも安全とは言えない。何年も糞と尿をかけられると、さすがに電線の被膜も劣化し漏電も起こりえるであろう。万が一、自分の噴(糞)射物で感電死したら、コウノトリにとっても電力会社にとっても厄介なことになってしまうに違いない。

郷公園としては、このヒナが巣立った暁には、離れたところに人工巣塔を建てて、今の電柱から巣を誘導することを検討している。

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