園長日記
7月18日に、韓国の礼山(イエサン)郡で第3回のコウノトリの放鳥が行われて、韓国へコウノトリを送り出した郷公園の代表として式典に参加してきた。今回の放鳥もソフトリリースで行われたが、その特徴は5羽の親子を一度に放鳥したことである。郷公園でも、親子をそっくり移動して、子供だけをソフトリリースした伊佐の拠点の例はあるが、親子をまとめて放鳥したのは初めてではなかろうか。もうひとつの特徴は、ひもを牽いて天井のネットを開けるのとほぼ同時に鳥たちが大空へ舞い上がったことである(写真1)。日本ではソフトリリースした後、すぐには飛び立たない場合が多く、見ている人々をがっかりさせることになるが、韓国では観衆の大歓声のもとで飛び立っていった。これには、ケージの天井がやや低く作られていたことが関係あるのではないかと思われた。
放鳥に先立つ式典では、礼山郡守のファン・スンボンさんに、私から郷公園のコウノトリの系譜を巻物にした贈り物を差し上げ、放鳥の祝辞を申し上げた。巻物は大変喜ばれたが、これは現在日本の野外で生活する全コウノトリの系譜を示し、その中で韓国へ飛来した個体には色を変えて明示したものである(写真2)。そのお礼だろうか、ファン郡守からはコウノトリの木彫りの記念品をいただいた(写真3)。
式典の中で、礼山郡守から読売新聞豊岡支局の松田聡記者に感謝状の盾が贈呈されたのは特筆に値する。松田さんが長きにわたり、日本のコウノトリ情報を韓国に送り続け、また韓国語の情報を、こまめに日本語に訳して我が国の関係者に送り続けたという功績をたたえたものだった(写真4)。
この日の午後には、韓国教員大学のリュウ・ヒチャン学長を表敬訪問して、日頃のコウノトリの日韓連携研究のお礼を申し上げるとともに、さらなる協力・進展を誓い合った(写真5)。コウノトリの野生復帰を通じた韓国教員大学との共同研究は2003年から継続しており、郷公園から韓国での放鳥個体の創設個体となるコウノトリを韓国教員大学に譲渡し、飼育におけるペアリングや人工繁殖、生息環境整備などについての意見を交わしてきた。その後は、大学の敷地内にあるコウノトリの飼育施設を飼育主任のヒュン・マンスさんのご案内で見学した(写真6)。
2泊3日のあわただしい韓国訪問だったが、韓国の野生復帰の現状を深く知る良い機会だったと思う。
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