公立大学法人 兵庫県立大学大学院大学院 地域資源マネジメント研究科

園長日記

(028)ついに韓国へ行ったコウノトリ

3月18日、韓国の釜山の近くの金海(キメ)市の湿地で、豊岡の伊豆巣塔でおととし巣立った生後1歳8カ月の雌が発見された(写真1)。野生復帰したコウノトリが海外に飛来したのは初めてである。この雌は、昨年10月から12月にかけて、群れで山口県や岡山県に行っていたのが確認されていたが、その後行方不明になっていたものである。野生のコウノトリの3代目が生まれたり、野外での個体数が100羽に迫ろうとしている現在、コウノトリの野生復帰はまた新しい局面を迎えた。郷公園では、このことを20日に共同記者発表した。

今回のことは、野生復帰グランドデザインの最終目標である「コウノトリのメタ個体群の確立」という観点では、外国への分散の第1歩であり、「意外と早くその日がやってきた」という感想だ。韓国では、来年4月に試験放鳥が開始される予定であり、私たちの試験放鳥に先立って大陸産の「ハチゴロウ」が飛来して、計り知れない有益な情報をもたらしてくれるとともに、地域の方々に新たな「やる気」を運んできてくれたことを思うと、韓国へ行ったこの雌がハチゴロウと同じ役割をしてくれるものと期待される。また、25日からオランダで始まる「日米韓首脳会談」でも、冷え込みきった日韓関係を解きほぐす、話のきっかけになることを期待したい。そうは言うものの、今回の雌は単独行であるうえ、まだ2歳にもなっていないので、性成熟するにも数年かかるし、当面は帰って来てしまう可能性が高いだろう

奇しくも、20日には豊岡市が、ハチゴロウが最初にすみついた下鶴井周辺へ移転する運動公園の基本計画を発表した。郷公園もこの計画については見直していただくよう要望書を出してきたが、中貝市長の「現在より、もっと良い環境を創出する」という約束を今後きびしく見守っていきたい。

(写真1)金海(キメ)市の湿地で確認されたコウノトリ(ファポ川湿地生態公園館長 クァク・スングクさん提供)

写真1 金海(キメ)市の湿地で確認されたコウノトリ(ファポ川湿地生態公園館長 クァク・スングクさん提供)

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