園長日記
郷公園のホームページを真面目に見ておられる、いわゆる「コウノトリ愛好者」の中には、野外コウノトリの個体数が、いつの間にか82羽から76羽に減っていることに、お気づきになった方がおられるだろう。その詳しい経緯と解説はホームページにすでに掲載されているのでご覧になっていただきたいが、簡単に言ってしまうと、一時収容された個体や、行方不明になっている個体が82羽の中には含まれており、それを除いた実際野外に現存する個体数76羽に修正したということである。このことを、同窓生で民事調停委員をしていたある友人に話したら、「そんなこと人間では常識だ」と言われたうえに、次のように詳しく教えてくれた。
人間の社会では、長期間ある人が「行方不明」になっていると、残された人は再婚したくてもできなかったり、財産分与をしていいのかどうかわからなかったり、様々な不都合が出てくるという。そこで、生死が7年間わからないときには、家族など関係者の請求によって家庭裁判所が「失踪宣告」をすることができるそうだ(普通失踪)。これには例外もあって、船に乗ったり、戦争に行っていたり、危険に遭遇する場所にいたような場合には、1年間でも宣告できるという(危難失踪)。
ところが、コウノトリの家族は、誰もこうした宣告をしてくれないので、長い間には行方不明の個体が、どんどん増えてきて現実の個体数とかけ離れてくる。そこで、今回コウノトリの家族になり変わって、郷公園が「失踪宣告」をしたというわけだ。その結果、従来の公表数82羽が76羽になったのである。コウノトリの場合は、1年間、行方不明が続くと、ひとまず死亡とみなすことに決めた。コウノトリにとっての野外は戦争並みの厳しさ(危難失踪)というわけだ。これを教えてくれた件の友人は、「死んだはずの個体がひょっこり帰ってきて、もとの巣の所有権を主張したり、新しい配偶者ともめたりすることはないのか」などと人間臭いことを言っていた。
個体数を測る場合は、一定のルールにのっとって数えるわけで、従来の数え方が間違っていたというわけではない。従来のルールは、「なるべく野外のコウノトリの数を減らさないでおこう」「多く見せよう」という配慮が無意識のうちにはたらいていたような気もする。思い切って「失踪宣告」をしようというのは、ある意味贅沢な選択かもしれない。
- (063)第3回韓国コウノトリ放鳥式に参加する
 - (062)IPPMサントリーから助成金を受ける
 - (061)卵で産みたい
 - (060)大迫インデックス
 - (059)徳島県を訪問した
 - (058)本店・支店・出張所
 - (057)放鳥10周年記念セレモニー
 - (056)今繁殖期最後のヒナが巣立った
 - (055)野田市の放鳥(続き)
 - (054)野田市の放鳥式典が行われた
 - (053)えっちゃんの子どもに脚環を装着
 - (052)三保の「あさひ」
 - (051)仙禽
 - (050)珍客帰る
 - (049)J0051(ポンスニ)の韓国からの帰還
 - (048)えっちゃん、おめでた!
 - (047)四国で、但馬以外での全国初の繁殖地誕生か?
 - (046)最近のドローン問題について思うこと
 - (045)この家に見覚えがありました!
 - (044)えっちゃん結婚か?
 - (043)お宝写真の訂正
 - (042)郷公園、昨年の十大ニュース発表
 - (041)中国の繁殖コウノトリ(No. 40の続き)
 - (040)大陸の越冬コウノトリ
 - (039)韓国に渡ったコウノトリにお友だち
 - (038)赤石のメス、その後
 - (037)福井県のヒナすくすく育つ
 - (036)大学院開設記念式典
 - (035)この家に見覚えは?
 - (034)速報・赤石の弟の祝再婚!
 















