公立大学法人 兵庫県立大学大学院大学院 地域資源マネジメント研究科

園長日記

(045)この家に見覚えがありました!

園長日記のNo.35で、我が国の鳥類生態写真の草分け下村兼史が戦前に兵庫県出石鶴山で撮影した「カフノトリ」の写真を紹介し、背景に写っている旧家の特徴ある佇まいから、「出石でこれほど大きな家なら、現在80歳代後半か90歳代前半のお年寄りで、この家をご存知の方が御存命なのではあるまいか?」と書かせていただいた。

ところが、このほど出石町の郷土資料収集家の中村英夫さんの調査でこの家が見つかり、5月19日に現場へご案内をいただいた。何とその家というのは中村さんの高校時代の恩師であられる出石町鳥居の宮本公朗住職(77)の「白鶴山善立寺」だったのだ。当日は山階鳥類研究所の「下村アーカイブ」を管理されている同研究所特任研究員の塚本洋三さんにも御同道願った(写真1)。

現在は本堂・庫裏・山門とも屋根は瓦で葺き替えられていたものの配置はまさに当時のままだった。住職は私より1歳年上であられたが、私は早生まれなので、ひょっとすると同学年生かもしれない。だから似たような子供時代を過ごしておられることがお話の端々にうかがわれて、勝手ながらとても親近感をもたせていただいた次第である。要するに、「カフノトリ」はこのお寺の裏山で繁殖しており、子供時代の宮本住職は、訪ねてくる写真家や、マスコミ関係者を巣に案内して、当時としては破格な「お駄賃」をもらっていたとおっしゃるから、この話は間違いないだろう。

今回のことで私が得た教訓は、「どうせ解らないだろう、と諦めて黙っていてはいけない」ということだ。この話の詳しい発端は「園長日記No.35、この家に見覚えは?」をご一読いただきたい。地元の研究家の力は大きい。中村さん、ご住職、ありがとうございました。

(写真1)善立寺庫裏にて。前列左から、小生・宮本住職・中村さん・塚本さん。後列左から、山室准教授・中井教授

写真1 善立寺庫裏にて。前列左から、小生・宮本住職・中村さん・塚本さん。後列左から、山室准教授・中井教授

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