公立大学法人 兵庫県立大学大学院大学院 地域資源マネジメント研究科

お知らせ

負傷したJ0275に係る対応について

嘴(くちばし)を負傷したJ0275については獣医師が継続的な経過観察を行ってきました。(経過観察することとした理由は後述のとおり)
このなかで3月23日(水)には、当初から確認していた嘴の損傷部が拡大していることが新たに分かり、今後欠損部がさらに広がれば、嘴そのものが裂けてしまう可能性がでてきました。そこで、負傷の状態を詳しく確認する目的で捕獲・収容し、治療を試みることとしました。負傷の程度および治療による回復を見極めた上で、収容後に再度リリースする方針です。


【負傷を確認した経緯及びその後の状態】
3月14日(月)15:53、J0275の頚部から胸部にかけての羽に血が付着していることに飼育員が気づいた。翌15日には、下の嘴の先が約7cm欠損し、そこから出血していることを確認した。
その後、3月17日に西公開ケージにおいて採餌する様子が飼育員により確認されている。その後も同所において毎日採餌している。

【J0275について】
2007年、J0228(♀)とペアとなり、百合地区巣塔で繁殖を開始したオス。2005年のリリース開始後、初めての野外繁殖に成功した個体である。
2015年、近隣に河谷ペア(J0025♂、J0016♀ 参考:J0025はJ0275の子)が新たに形成され、両ペアの間に、なわばりをめぐる種内闘争が続いていた。
現在、河谷ペアは百合地区巣塔において繁殖行動をとっている。

【負傷確認後の郷公園の対応について】
3月16日、郷公園は園長を含めた全体会議及びエコ研究部会議において本件について検討した結果、経過を観察することとした。その理由は以下のとおりである。

  • 負傷の原因は、野生個体間の種内闘争によるもの(人為に基づくものではない)と推測され、野生復帰が進んだ結果であると考えられる。
  • 西公開ケージにおいて採餌ができているため(継続的な定量調査を実施 中)、短期間で衰弱する可能性は低いと考えられる。
  • 飼育下においては、嘴を欠損しても自然治癒した事例が複数例ある。また、鳥類は体温が約41℃であり、傷口から化膿する確率は低いと考えられる。
  • 負傷の現状を正確に見極めることが必要である。

郷公園メッセージ
コウノトリを愛するみなさんへ

コウノトリをはじめとする野生動物は、厳しい生存競争の中で生活しており、負傷することがあっても、それが軽度であれば克服し、たくましく生きていく力を備えています。
今回は、野外で最初にヒナを巣立たせた当該個体への地域住民の熱い要望があるとともに、嘴の損傷部が拡大していることが新たに分かったため、捕獲し、治療を試みることにしました。
しかし21世紀に生きる私たちには、野生動物の厳しい世界を冷静に受け止める、強くて優しい心を培うことが求められていると考えるものです。

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