来園される方へ
生態展示の給餌方法変更
コウノトリの郷公園が2005年に開始した試験放鳥以後、野外コウノトリは着実にその数を増やし、2020年6月には200羽に到達するまでになりました。また、東日本の栃木県での繁殖の成功や、日本から中国への移動など、兵庫県から始まった取組は大きく拡大しております。これまで多くの皆様からのご支援をいただいたことにより、野生復帰が着実に進展できていることに心より感謝を申し上げます。
さて、当公園ではご来園の皆様にコウノトリへの理解を深めていただく目的で、飼育個体を公開ケージで生態展示しています。より自然に近い環境でコウノトリが暮らす様子を再現するため、公開ケージは湿地や草原を設けたオープンケージ(屋根のないケージ)となっており、野鳥が舞い降りることがあります。飼育個体には人間が給餌(餌やり)をしているのですが、これを採餌する野外個体がいることが、かねてからの問題でした。現在、毎日のようにやってくる、いわば「給餌依存」状態の個体が多数います。自然の中で暮らす野外コウノトリは「野生動物」です。野外個体の数がこのまま増えたとしても、自立しなければ真の野生復帰とは言えません。
そこで、このたび公開ケージでの飼育個体への給餌を閉園後にバックヤードで行う方式に変更しました。コウノトリの未来設計図である『コウノトリ野生復帰グランドデザイン』の短期目標で示した、野外コウノトリの「給餌依存からの脱却」を達成し、自立した野生個体群の確立に向けての大切な取組です。
なお、当公園周辺では祥雲寺巣塔ペアや、大陸から飛来した野生個体等が暮らしています。運が良ければ、公開ケージのコウノトリだけでなく、自然の中で暮らすコウノトリの姿もご覧いただけます。
豊かな自然環境づくりと、人とコウノトリの共生を目指す取組に今後もご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
2020年10月15日
兵庫県立コウノトリの郷公園